ブルービースト

「あの音さ、あれだよ。目覚まし」


「………はい?」



諦めず(というか意地になって)部屋の中へ入ろうとしたユノに、レイツは苦笑いしながらあの音の正体を言ってのけた。



その言葉にユノは胡散臭そうな顔をして、あからさまに信じてませんアピールをする。



だいたいあんな音の目覚ましがあるわけがない。




ユノがそう言うと、レイツは頬をポリポリ掻いてまた苦笑した。



……イラッとしたのは気のせいではない筈。





「…んっとなあ、そうじゃなくて。

ブロードが目覚まし壊した音、って言ったらわかるかな」


「……壊した音?」



またまた「はい?」みたいな表情して繰り返すユノに、レイツはコクンと頷いた。


それからまた口を開く。




「たまにあるんだ、寝惚けてぶっ壊すのが。
俺らはみんな最初はビックリしたけどもう慣れたな。あいつ寝相も悪いし」


「………先に言っといてくれませんか」


「いや~、久しぶりだから忘れてた。はっはっは」


「その鬱陶しい笑い方やめないと脳天カチ割りますよ」




レイツは直ぐ様真っ青になりながら笑うのをやめた。




< 85 / 309 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop