ブルービースト
「あの音さ、あれだよ。目覚まし」
「………はい?」
諦めず(というか意地になって)部屋の中へ入ろうとしたユノに、レイツは苦笑いしながらあの音の正体を言ってのけた。
その言葉にユノは胡散臭そうな顔をして、あからさまに信じてませんアピールをする。
だいたいあんな音の目覚ましがあるわけがない。
ユノがそう言うと、レイツは頬をポリポリ掻いてまた苦笑した。
……イラッとしたのは気のせいではない筈。
「…んっとなあ、そうじゃなくて。
ブロードが目覚まし壊した音、って言ったらわかるかな」
「……壊した音?」
またまた「はい?」みたいな表情して繰り返すユノに、レイツはコクンと頷いた。
それからまた口を開く。
「たまにあるんだ、寝惚けてぶっ壊すのが。
俺らはみんな最初はビックリしたけどもう慣れたな。あいつ寝相も悪いし」
「………先に言っといてくれませんか」
「いや~、久しぶりだから忘れてた。はっはっは」
「その鬱陶しい笑い方やめないと脳天カチ割りますよ」
レイツは直ぐ様真っ青になりながら笑うのをやめた。