ブルービースト

レイツを脅しながらシンプルな部屋に入ったユノ。


彼女が最初に見たのは、隊員達の部屋と同じ定位置にあるベッド。



そこでブロードらしき布団の膨らみにのる、ポチだった。




そのポチはユノを見て首を傾げる。



すっかり寝転がって飼い犬までお休みモードだ。




ツカツカと歩み寄るユノを見上げ欠伸をすると、ポチは尻尾を振って彼女を歓迎した。



前の態度が嘘だったと思える程に、もうこんなになついてしまっている。





「……おはよう、ポチ。ちょっとどいてくれる?」



ユノは黒い笑顔を浮かべそう声をかけた。


ポチはその表情にビビるものの、言われたようにどこうとはしない。




仕方ない、と一つ息を吐いたユノは、すっぽりと上司をくるむ布団に手をかけた。



危険を察したポチは必死になって布団にしがみつく。





そして──…





「……ブロードさん、起・き・て・く・だ・さ・い!!!」





──…そう声を張り上げたユノは、思いっきり布団を引っ張った。




渾身の力の籠ったそれに、ポチはやっぱり転げ落ちる。





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