ブルービースト
「さっき起こしたんだけどよ、すぐまた寝ちまったんだ。
そっからはどうやっても起きねぇから、自分で起きるまで待つしかねぇかなって…」
「だから先に言えって」
「あっはっはっは、グヘッ!!」
笑って誤魔化そうとしたレイツはユノの短剣の柄の餌食となった。
どうやっても起きないと言うが、これは起こしてあげた方がいい気がする。
しかし気まずい空気は嫌だ。
そう心の中で葛藤していると、レイツの腕の中で伸びていたポチが不意にベッドに飛び乗った。
ブロードの頭の横にお座りすると、飼い主の頬にその前足を乗せる。
何をするんだと人間二人が見守っていると、ポチはそのまま──…
…………思いっきり鋭く爪を立てた。
もちろんそれはブロードの頬にぶっ刺さる。