上弦の月





それからの事をあたしはよく覚えていない。


絶望と孤独、それに加えた様々なストレス。

信じられない、いや信じたくない現実と向き合える程の気力も体力もあたしには残されていなかったようで。






あまりのショックに気を失い、病院で何日も眠り続けて目覚めた時には既にお通夜や葬儀は終わっていた。



その事がまた、より一層あたしの精神状態を悪くさせた。







「まり、あ」




どんなに呼び掛けても、
もう彼女は答えてはくれない。


ずっと二人で寄り添って生きてきたのに−−。





もう、マリアが笑いながら現れる事はないんだ。








双子だったあたし達。

助け合いながら、必死で生きてきた。










あたしは、これからどうしたらいいんだろう。



< 2 / 12 >

この作品をシェア

pagetop