上弦の月


*********************

「−‥ユリア?」


少し掠れた、甘く低い声。

あたしの大好きな声。


目を開くと、水月があたしを見下ろしていた。


「‥ミヅキ、」



慌てて起き上がろうとするあたしの頭を優しく撫でて、水月は疲れきった顔で笑う。



「無理しなくていいよ」

よりシャープになった顎のライン。

‥痩せすぎだよ。


「もう大丈夫だから…」

そう言いながらあたしはのそのそと起き上がった。




「明日にでも退院できるよ。…過労とストレスが原因だってさ、ユリア色々無理しすぎてたもんな」


色素の薄い瞳。

整った顔立ち。

長い睫毛。


間近で見る水月は、ハッとする程に綺麗で。

思わず目を細めた。



< 3 / 12 >

この作品をシェア

pagetop