上弦の月
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「−‥ユリア?」
少し掠れた、甘く低い声。
あたしの大好きな声。
目を開くと、水月があたしを見下ろしていた。
「‥ミヅキ、」
慌てて起き上がろうとするあたしの頭を優しく撫でて、水月は疲れきった顔で笑う。
「無理しなくていいよ」
よりシャープになった顎のライン。
‥痩せすぎだよ。
「もう大丈夫だから…」
そう言いながらあたしはのそのそと起き上がった。
「明日にでも退院できるよ。…過労とストレスが原因だってさ、ユリア色々無理しすぎてたもんな」
色素の薄い瞳。
整った顔立ち。
長い睫毛。
間近で見る水月は、ハッとする程に綺麗で。
思わず目を細めた。