上弦の月
「水月が色々やってくれたんだよね‥?ありがとう、ほんとに」
あたしは力なく呟いた。
−−水月だって辛すぎたはずなのに。
誰よりも、
辛かったかもしれないのに。
「水月、ちゃんとご飯食べて。‥あたし、退院したら何か栄養のある物作って持って行くから…」
「俺は大丈夫だよ。…つーか、」
−−1番辛いのはお前なんだから。
水月はそう付け足して、あたしを抱き寄せた。
甘い香りに目眩を覚える。
「−−ほんと、辛かったよな」
降り注ぐ優しい声。
温かいぬくもり。
「泣いていいから」
「これからは俺が傍にいるから」
「ユリア、心配しないで−−」
貴方はどんな気持ちで、
あたしを励ましていたんだろうか。
本当は一番、泣きたいのは貴方だったはずなのに−−。