上弦の月


咳を切ったように涙が溢れ出す。


手先が冷たい。

気が狂ってしまいそうな程の、


喪失感
絶望
哀しみ。



「帰ってきてよ−−っ」



どんなに叫んでも届かない声。

どんなに祈っても、叶わない願い。








「−−ユリア、」


後ろから水月があたしを抱きしめる。



驚く程、強い力。


「ユリア、大丈夫。大丈夫だから−−」




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