1億の☆
第1章 悪夢のはじまり
1コイン
目の前には白く輝く豪邸の、
いったいどんな巨人が住んでいるのかと思うくらい大きな入り口の扉。
振り返れば、広大な敷地を埋め尽くす花や緑。
植物とのコントラストが美しい白い彫刻や光り輝く噴水。
真ん中を通る、今通ってきただろう道の先には、入り口の影はない。
どう見ても今この場に居ることが不釣合いな私の姿に目眩がする。
(…帰りたい)
私、保科音水(ほしな おみ)。高校三年生(17歳)。
ごくごく普通の家庭に生まれた、ごくごく普通の高校生。
そんな私がなぜこんなところに立っているのかというと、
それは遡ること約1日。
学校から帰宅した私を待ち受けていた、とんでもない事実から始まった・・・・・・。