1億の☆
昨晩の虚しさが湧き上がり、藤堂類から目を逸らす。
段々と溢れ出す涙が流れ落ちない様に、下唇を噛み締める。
既にここを出て行こうという士気は消え失せ、
それを知ってか知らずか、私の腕を掴む手の力は緩んでいた。
「類様?どうかされましたか?」
どのくらいそうしていたのだろうか、1階から姿を見せた西條さんの不安げな声で我に返る。
「大丈夫だ、今から部屋に案内するところだ。
・・・・・・いくぞ。」
藤堂類は私に背を向けると、
掴んだままの私の腕を引っ張り歩き出す。
先程のように強い力ではないものの、
予期せぬ行動に躓きそうになりながら私は必死について行った。