1億の☆
「・・・・・・・・・・・・・・・」
長い廊下をひたすら無言で歩く。
考えることを放棄した思考回路は、
ただただ転ばぬよう歩くことだけに使われていた。
“何か”を考え出してしまえば、今にも泣き崩れてしまいそうで・・・・
先程まであんなにもムカついていた藤堂類の、
今は優しく握られた手があたたかくて、
不本意ながらその手に、縋り付きたくなってしまう・・・・・・。
『ガチャッ』
急に立ち止まったかと思うと、ドアを開ける音がする。
反射的に顔を上げると、開け放たれたドアから溢れ出す光に目が細まる。