1億の☆
「たかがキスぐらいでそんなにいきり立つなよ。
こんなもん序の口だぜ。」
そう言うアイツのニヤついた口元。
それでいて真っ直ぐな瞳。
私が叩いた頬の赤み。
全てが先程のキスを思い出させる。
柔らかな感触
二人の吐息
熱くなる体
全てに嫌悪感を覚えた。
「いぃいからとっとと出て行けぇ!!」
既に涙を堪えるのは限界で、
これ以上出ないだろう位大きな声で叫んだ。
その後はもう声を出すこともアイツを見ることも出来なくて、
とにかくアイツが出て行くのを、足元を見つめたまま待った。