1億の☆
「あら、音水ちゃん!遅かったじゃない!!
心配したのよ??」
「遅くなってごめんなさい、菫さん。」
この黒いエプロンを着た女性が來のお母さんの菫さん。
背が高くてスレンダー、長い髪を無造作にひとつにまとめたその姿は、
まさにカッコイイ女性。
私の憧れだ。
「何かあったわけじゃなければいいのよ。
でも心配でさっき帰ってきた來軌を探しに行かせたの。
心配してるだろうから電話してやって?」
「はい、・・・あっ!すみません、電話借りてもいいですか?
携帯解約してしまっていて・・・・。」
「道理で電話しても繋がらない訳ね・・・。
どうぞ、いくらでも使って~。」
「ありがとうございます。」
菫さんに一礼してお家に上がる。
慣れた足取りで電話機の前に立つと來に電話をかけた。