奪ったのは君か僕か
夜が明け薄く空が明るくなってきた。


俺はというと、その場にいられなくなり
庭にある木の枝に寝そべり夜を明かした。



ふと廊下を見ると、ふらふらと歩いている
モミジがいた。


泣いていたのだろう、顔は少しはれ、目は
赤い。


自分の部屋に入ったのを見計らって、俺は
モミジに話をかけた。


「…モミジ!」


「…」


「大丈夫か?」


「私は、何のために…
 私…汚れちゃった…私…!」


「モミジ…!!」


泣き崩れるモミジを俺は抱きしめた。



抱きしめるしかできなかった。


なぜ?なぜこんなことに?


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