奪ったのは君か僕か
「栄蔵…じつはな、紅葉を江戸城に
 奉公に出してほしいと、将軍様
 じきじきにお願いしに来たんだ。」


目の前が真っ暗になった。


「親父さん…!!」



「みての通りうちはこんな貧乏暮し、
 俺もおかあももう若くない。
 …わかるだろ?お前には本当に
 申し訳ないと思ってる…」


「…も、紅葉はなんて!?」



「俺たちのために江戸城へ行くと言って
 くれている。」



「そんな…!」



「栄蔵!悪い!!しかし、わかってほしい」



「わかりました…親父さん、紅葉と話させて
 ください!」



「あぁ、紅葉なら裏の河原にいる。」


わかるよ、親父さん。


それが幸せなる方法なんだろ?


所詮、金がないと…
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