奪ったのは君か僕か
紅葉が江戸城に行き、数日が経った。


心に穴が開いたようだ。


なにやら、将軍様は、紅葉に目を
つけていたらしい。


きっと紅葉は俺のために自分を将軍様
から守っているに違いない。


かわいそうな紅葉。


俺が、農民じゃなかったらお前は幸せ
だったのだろうか…


「失礼。」


「!はい…どなたでしょうか?
 あなたは…!将軍様…!」


「本日はそなたにいい話を持ってきた。」


「…何でしょうか?」


「奥見屋の娘を嫁に貰う気はないか?」


「奥見屋さんの!?そんなの、いけません!
 身分が違いすぎます!!!」


「奥見屋の娘と結婚したら、後を継ぎ、
 金に困らずとも生活ができるぞ。
 奥見屋の娘はそれはもう美しい。
 どうだ?こんないい話ないだろう?」


こいつ…
何言ってんだ?

愛って金じゃねぇ
愛って見た目だけじゃない


その時だった。

将軍様が俺の耳元でいったんだ。
< 38 / 100 >

この作品をシェア

pagetop