奪ったのは君か僕か
「…百合野、申し訳ないんだが
 買出しはひとりで行けるかい?
 少し体調が悪いみたいだ。」


「大丈夫ですか…?」


「大丈夫、さぁ、一人で行っておいで。
 気晴らしにもなるだろう?」


「もう!私は栄蔵さんとお出かけ
 したかったのに。でも仕方ないです
 よね。じゃぁ、行ってきますね。」



ガラガラと戸が閉まる音がした。


「おい、いいのかよ?あの子お前の
 お嫁さんか?」


「…あぁ。」


「モミジは…いいのか?」



「…。それより紅葉は…紅葉は無事な
 のか!?」


「生きている。死んだように、な。」


「…?」
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