奪ったのは君か僕か

百合野

かんざしを買いに行ったあの日から
栄蔵さんがおかしい。

あの、お店であった美しい女性。

きっと彼女が栄蔵さんのいいひと…


私はこんなに栄蔵さんを愛しているのに
栄蔵さんは私を見てくれないの?

愛してくれないの?


「百合野?」

「栄蔵さん…。」

「どうした?考え事かい?」

「栄蔵さん、もう、結婚して何ヶ月も
 経つじゃないですか。私…栄蔵さんと
 結ばれたいんです。」

「百合野…?」

「なんで!?キスもしてくれないんで
 すか?!私はこんなにも栄蔵さんを
 愛しているのに!!私だけを…
 愛して下さい!!」

「…おいで。」

ふわっと栄蔵さんに抱き締められる。

「いいかい?そんなに俺は軽々しく
 抱いたりなんかしない。
 大切にしたいんだ。そうゆう事は。」
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