奪ったのは君か僕か
私は、栄蔵さんの腕を振りほどき
台所へ。

慣れない手つきで使っていた包丁を
持ち出し愛する人の元へ。

「な…百合野!?」

「栄蔵さん…一緒に二人だけの世界
 に行きましょう?」

泣きながら私は栄蔵さんに包丁を向ける。

「百合野…俺は死ぬわけには
 いかないんだ…ごめんな?
 いい夫じゃなくて…おい!女の死神!
 俺は死ぬわけにはいかない!
 そう約束したろ!?でてこい!」

「…死神?」

「はーい☆エイゾウ!ちゃんと覚えてた
 のね!」

「!?あんた誰!?黒い…羽?」

「私?私はジャスミン!死神よ☆」

「死神!?」

「本当はねーエイゾウの魂もらうため
 に来たんだけど…ちょっと事情が
 変わっちゃってね☆今、あんたに殺さ
 れるわけにはいかないの!」

「ふざけないで!これは私たち
 夫婦の問題よ!?」

パンッ!

ジャスミンが思いっきり百合野の
頬を叩いた。
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