天国の妻へ、俺たちは元気です
目をあけると、そこには妻がいた。
真っ青な顔をし、棺桶のなかに横たわっている。
回りには、黒い服を着た大人たちが取り囲み、涙を流していた。
い、いやだ、見たくない!
俺は逃げるように後ろを向いた。
しかし、向いた先には雪がいた。
幼稚園の制服を身にまとい、無表情で妻を見ている。
「…………ゆ……き?」
雪は、何も答えずに歩きだした。
妻の棺桶の横まで来ると、小さな体で背伸びをし、中を覗き込んだ。
「ママ、せまくない?」
俺は、その場に泣き崩れた。
「ママ、かえろうよ。いっしょにねよぉよ?マぁマぁ」
やめてくれ、雪!そう叫びたかった。
止まらない涙と鼻水でくしゃくしゃになった顔で、俺は雪を呼んだ。