天国の妻へ、俺たちは元気です
俺は雪が手を洗っている間に、先にお弁当を一つ温め、付け合わせにかったキュウリの漬物を小さな皿に少し移した。
そして、玄関近くの個室に持っていく。
そこには仏壇があり、妻の写真が置かれている。
「……しぐれ、ただいま」
俺はそうぽつんと言い、お弁当と漬物を写真の前に置いた。
「いつも俺が作る不味い飯だけじゃ飽きるだろ?見ろ、今日は豪華だ!雪も喜んでる」
返事はない。
ただ、写真の中の妻は、俺に満面の笑みを見せるだけだった。
「……だんだん、辛くなってきた」
つい、本音が出てしまっていた。