ラスト プリンス


 その様子を見つめるあたしは、少し自慢気なのかも。

 でも、一向に返事を返さない耕太に自信はすり減り後悔すら浮かび、あたしは恐る恐る口を開いた。

「気に入らないなら気に入らないでいいんだけど。 素人が口出しするようなことじゃないし」

「いや、いいんだ。これで」

「そうなの? 良かった」

 安心感があたしを包み込む中、耕太がカイさんを呼び、確認の作業。

 うっすら二人の会話が聞こえるソファーに座り、文庫本を開く。

 本を読みながらうとうとしていると、ソファーに置いてあった携帯が震えだした。

 画面には登録していない番号が写し出されていて眉を寄せる。

 出ようか出まいか躊躇っているうちに震えは治まり、ソファーからの振動もなくなった。

「梨海ちゃん?」

「はい?」

「電話。気にしないで出て良いのに」

「そうじゃないんです。かかってきた番号が登録されてなくて」

 そっか、と温かい笑みを残して再び仕事に移るカイさんはあたしにそれほど興味はないみたい。

 まあ、奥さんいるし興味があったら困るんだけどね。


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