ラスト プリンス


 携帯を開き着信履歴からさっきの番号を見てみるけど、誰だっけ、の繰り返し。

「……誰だあ?」

 ゴロンとソファーに寝転がり、メールも何もせずににらめっこの戦い。

 気になるなあ……。

「アイツは?」

「たぶん違っ……?!」

 上から声が降ってきて頭だけ動かし確認すれば、耕太があたしの携帯を覗き込んでいた。

 反射って怖いわね。
 何の疑いもなしに返事しちゃったわ。

「いきなり現われないでよっ」

「はあ?いきなりじゃねぇし」

 どけ、と寝転がるあたしを手で端まで追い払い、その隣にどかっと座った。

 「ん」と耕太が左手をあたしに差し出す。

 「は?」と眉を寄せるあたしに、耕太も「は?」と。

 いやいやいやっ。
 あたし、超能力とかエスパーとかテレパシーとか、使ったことないんですけどっ。

 そんなねぇ、『ん』だけで考えてることが分かるわけないっつうの。

 っていうか、習ったでしょっ!
 小1くらいに『主語と述語』って!


< 144 / 269 >

この作品をシェア

pagetop