ラスト プリンス
携帯を開き着信履歴からさっきの番号を見てみるけど、誰だっけ、の繰り返し。
「……誰だあ?」
ゴロンとソファーに寝転がり、メールも何もせずににらめっこの戦い。
気になるなあ……。
「アイツは?」
「たぶん違っ……?!」
上から声が降ってきて頭だけ動かし確認すれば、耕太があたしの携帯を覗き込んでいた。
反射って怖いわね。
何の疑いもなしに返事しちゃったわ。
「いきなり現われないでよっ」
「はあ?いきなりじゃねぇし」
どけ、と寝転がるあたしを手で端まで追い払い、その隣にどかっと座った。
「ん」と耕太が左手をあたしに差し出す。
「は?」と眉を寄せるあたしに、耕太も「は?」と。
いやいやいやっ。
あたし、超能力とかエスパーとかテレパシーとか、使ったことないんですけどっ。
そんなねぇ、『ん』だけで考えてることが分かるわけないっつうの。
っていうか、習ったでしょっ!
小1くらいに『主語と述語』って!