ラスト プリンス

 怪訝そうな顔を見せたけど、それはほんの一瞬だった。

「どういう賭けですか?」

「どちらかが好きになったら、勝負は終わり。負けた方は勝ったほうの言うことをきく」

「いいですよ。負ける気がしないので、罰を受ける準備したほうがいいんじゃないですか?」

「ホント、あんたってムカつくっ」

 あたしが負けるって決まったわけじゃないのにっ。

 それとも、あたしにそういう魅力がないって遠回しに言いたいのかしら?

「じゃあ、粗方の情報交換しましょうか。年齢は?」

「高1、15歳。あなたは?」

「大学3年。計算くらいできるでしょう」

「21歳ってことは、5歳差ね」

 その後の軽い情報交換で、藤野耕太は、ここで仕事をしながら大学に通ってることが分かった。

 ってことは、ココに来れば会えるのね。

 相変わらず、手を動かす藤野耕太は、やっぱり様になってる。

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