ラスト プリンス
「梨海ちゃん驚きすぎ。 どこぞの有名人じゃないんだから。 さ、ケーキ食べよう」
ことさら甘い笑みを浮かべるカイさんは手招きをする。
まだ興奮が冷めやらないあたしは、小さな子どものように返事をし、カイさんの右隣に腰を下ろした。
「母さんとユキさんは、そこに座って」
耕太はカイさんの左隣に、香保里さんとユキさんはカイさん達の目の前に座る。
抹茶のケーキを頬張りながら、香保里さんやユキさんとのお茶はなんだか緩やかな時の流れを感じる。
それは、香保里さんやユキさんの持つ独特の雰囲気からなのか、それとも、親子だからなのか。
「……じゃ、あたしは失礼します」
こんな緩やかな時の流れを感じているのはもったいないくらい嬉しくて、素敵なこと。
だけど、せっかく家族水入らずになれるのに、あたしが邪魔しちゃいけないわ。