ラスト プリンス
もう、戻れない……
水曜日の昼下がり。
なんて言ったって、とっくに13時は回ってる。
お弁当を平らげたあたしは、優衣とガールズトークを繰り広げている最中。
あと3日ほどで2学期が終わり、クリスマスがやってくるなんて。
2学期が終わるのはこの上ないくらい嬉しいことなんだけど、クリスマスっていうのが、ねぇ?
「優衣、好きな人いるんでしょ?教えなさいよー」
「な、何言ってるのっ。いないから!」
「舞希はきっとあっちで金髪で背が高くて、目が碧かったりする男とラブラブだったりして」
「この前の手紙にはそんなこと書いてなかったよ?」
今からちょうど1週間くらい前に届いた舞希の手紙には、確かに書いてなかったけど。
ちょっと手紙じゃ……的なこととが一つや二つあるんだろうなぁ。
「まあ、あたし達。彼氏がいようといなかろうと、クリスマス予定あるもんね」
「私はちょっと楽しみ」
「いーわよ、優衣は! 着物着ないものね」
優衣は両親が毎年演奏しているクリスマスパーティーに出席して、初めてそのパーティーで優衣がピアノを弾くんだって。