ラスト プリンス
……結局。ダメじゃない。
限界ってことなの? もう?
口にしたたけで、もう『好き』が溢れて、止まらない。 それが、涙として零れるんだから質が悪い。
「………やっぱりな」
小さくそう呟いた真司は、「ごめんごめん」と、さっきと同じ、ふわりなんだけど、全然違う微笑みを浮かべた。
あたしは好きなんだ。 耕太のことが。
好き、好き、好き、って我慢出来なくなるくらい、耕太のことが好きなんだよ。
自分の気持ちなんだもの、なんとなくは気付いてたのよ。 でも、自分から好きになるなんて久しぶり過ぎて怖くて、目を逸らしてた。
だから、余計、気持ちが膨れ上がったんだと思うの。
いつからだろう、と思いを馳せている間もなく、真司がほっとしたかのようにため息をつき、あたしの頭を撫でた。
「梨海が幸せになれる確率は?」
そんなの、あるの? あたしに。
どう考えても、っていうのはおかしい話なんだけど、耕太は絶対にオチない。
何をどうしたって、オチない。