ラスト プリンス


 ……結局。ダメじゃない。
 限界ってことなの? もう?

 口にしたたけで、もう『好き』が溢れて、止まらない。 それが、涙として零れるんだから質が悪い。

「………やっぱりな」

 小さくそう呟いた真司は、「ごめんごめん」と、さっきと同じ、ふわりなんだけど、全然違う微笑みを浮かべた。

 あたしは好きなんだ。 耕太のことが。

 好き、好き、好き、って我慢出来なくなるくらい、耕太のことが好きなんだよ。

 自分の気持ちなんだもの、なんとなくは気付いてたのよ。 でも、自分から好きになるなんて久しぶり過ぎて怖くて、目を逸らしてた。

 だから、余計、気持ちが膨れ上がったんだと思うの。

 いつからだろう、と思いを馳せている間もなく、真司がほっとしたかのようにため息をつき、あたしの頭を撫でた。

「梨海が幸せになれる確率は?」

 そんなの、あるの? あたしに。

 どう考えても、っていうのはおかしい話なんだけど、耕太は絶対にオチない。

 何をどうしたって、オチない。


< 178 / 269 >

この作品をシェア

pagetop