ラスト プリンス
もしかしたら、始めっからそのことに気付いてたのかな、あたし。
だとしたら、馬鹿すぎるじゃない。 そんな、勝ち目のない戦いを挑むなんて。
………ああ、そうか。
ただ、あたしが、一時の間、一緒にいたかっただけなのかな。
「………1%もない、かな……」
ううん。本当は0%なんだよ、きっと。
その1%には、あたしの見栄と期待が込められていて、1%のくせして、すっごく重いの。
「それより。やっぱりって何?」
魚の小骨が喉に残ったような、すっきりしなかったあたしは涙がやっと止んだのをきっかけに口を開いた。
「楽しそうに話してたから」
「………いつ?」
「バスの中で」
耕太とバスに乗ったのは一回しかないってことは、あの時、真司も同じバスに乗ってたってことよね?
「その後さ。スーパーまで、あとつけたら、その……藤野耕太にシバかれちゃったんだよ。 胸ぐら掴まれて『女をなんだと思ってるんだ』ってね」
「……だから、か……」
あの時、真司が『またお前』って言った理由は。