ラスト プリンス
「明けましておめでとうございます」
「おめでとー。 ねぇ、耕太がスパルタすぎ――」
「お前が仕事しねぇんが悪いんだろ」
間髪入れずに、凄味を利かせた声をこちらに投げる耕太は、それと共に鋭く怒気が感じられる視線も寄越した。
困った、という感じのカイさんは首を竦める。
「耕太もなんだかんだ忙しいみたいで。 そこのパソコン使って良いからブーケの花探してもらえる?」
二つ返事で引き受ければ、ありがとう、と溶けてしまうような笑みを浮かべるカイさん。
ざっと見て五、六枚のブーケのデザイン画を渡され、一枚一枚見ていく。
これなら短時間で出来るな、と目処を付け、二人分のコーヒーと一人分の紅茶を用意した。
「はい、どうぞ」
普段と変わりなく、あたしの気持ちに気付かれないように、耕太のデスクにコーヒーの入ったマグカップを置く。
「……ああ」
相変わらず素っ気ないな、とは思っても、少しは話したい欲望があたしの心でちらほらする。
ちらり、と。卓上カレンダーの、12月24日に目がいった。
「………ねぇ、この立食パーティー行ったの?」
「ん?……ああ。まあな。 モデルとかタレント、俳優、女優とかいたっけ」
「な、なんであたし連れてってくれなかったのよ!」
不安と驚きを押し込めて吐き出した言葉は不自然じゃなかっただろうか。
祈るような思いで耕太を見つめる。