ラスト プリンス


 話したい、触りたい、笑顔が見たい。

 耕太を見て、そんな風に思うなんて、考えてもみなかったことだから、戸惑いばかりがあたしを包む。

 それに、片思いなんて何年ぶりよ、と、自分で自分に突っ込みを入れたい。

 今までの恋愛と勝手が違いすぎて、あたふたしてしまうあたしがイヤ。

 ………賭けで負けたら、どうなるの?

 ふと、浮かび上がった疑問に、不安が募り目を伏せる。

 罰ゲーム、なのよねぇ。 じゃあ、それはなんなんだろう。

 近づくな、とか?

 一回ヤらせろ、とか?

 言われなくても、バイトは辞めるつもりだから、罰ゲームにはならないと思うけど。

 「ん」とあたしにマグカップを突き出した耕太は、いつも通りで。

 嬉しいような、でも、耕太があたしのことを何とも思ってない証拠みたいで、苦しい。


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