ラスト プリンス
だいたい、あたしの自由はあと2ヶ月しかないんだし、その間で出来ることなんて限られてる。
「とりあえず、髪の毛どうにかしましょうか」
髪の毛に指を通す耕太は、大人の色香っていう武器を晒す。
そんなんでコロッとオチないんだからっ。
耕太はドレッサーに置いてあったブラシを使い、丁寧に髪の毛をとかす。
あたしの悪い癖なんだけど、髪の毛を弄られると眠くなるのよね。
ほとんど巻きがとれた髪の毛を巻き直し始めた耕太を、鏡越しに見る。
ヘアアイロンの熱と、かすかに揺れる髪の毛にうとうとしてきたあたしは。
「起きて下さい。出来ましたよ」
「ん。……あ、寝ちゃった!」
「本当に迷惑な人ですね」
「ごめんって……えっ!?」
ホントに。テレビのタレントやモデルのヘアスタイルみたいな、適度のゆるさに触りたくなるようなふわふわ感。
自分で巻いたら絶対出来ないような巻き髪に、開いた口が塞がらない。