ラスト プリンス

 淡い黄色の着物を着るあたしの右手には日本庭園さながらの庭が、左手には母父の順番で座っている。

 名前すら分からない青年のご家族も同じ感じ。

 彼はさっぱりとしたこげ茶色の短髪で、顔立ちも中性的。
 聞いていた話通り、大学3年らしいけど。

 例え、結婚したとしてもどうやって暮らすのよ、生活していくのよ。

 「梨海さん、ご趣味は?」と穏やかそうなあたしの母親と違い、若いころはキャリアウーマンでした、的な相手方のお母様が問い掛ける。

「華道、茶道はもちろんですが、最近は……」

 最近、と聞けば、溢れ出るのは耕太とカイさんのことばかり。

 片手で数え切れる数だけど、ブーケの花選びをやらせてもらえたし、なんかもう楽しいことだらけだった。

「……梨海さん?」

「あっ、すみません。 最近、読書や書道、洋画など、多趣味でして。何からお話しすればいいかと決めかねていました」

「あら、そうなの。 洋画は吹き替え?それとも字幕?」

「ほとんど吹き替えや字幕なしで見ますが、医療ものなどは字幕で見ます」

 満足そうに微笑む彼の母親には、あたしがどういう風に映っているのか。

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