ラスト プリンス

「ソファーは狭い」

 そう一言呟いた耕太は足早にリビングを出て、あたしが着替えた部屋――寝室のドアを開けあたしを抱えたままベッドにダイブ。

 ベッドのスプリングが軋む音が響いた後、あたしを手早く下着にしブラジャーを取り払う。

「………なんか恥ずかしい」

「は?」

 急に恥ずかしさに見回れたあたしは、露になった胸を隠すように肩を抱いた。

「邪魔。退かせ」

「えー」

 なんで、どうしてこんなに恥ずかしいんだろ?

 今までこんなことなかったのに。

「えー、じゃねえよ。下から行くぞ」

「それもやだ」

 もしかして。 と思い始めた途端、やっぱりどうしようなく恥ずかしくて、初体験の女の子よろしく顔を赤らめてしまった。

「え、なに。着衣プレイがお好み?」

「……そうじゃなくて。 ねぇ、耕太」

 どうしよう。話すだけでも恥ずかしいだけどっ。

「何だよ。早く言え」

「………笑わない?」

「ああ」

 ちらっと耕太を見てから自分の腕や枕に視線を移すあたしは、なんだかもう下ネタに弱い女の子みたい。

 耕太なら笑うかも、と思いつつも初体験の子なら誰でも言うであろう言葉を初めて口にした。

「………優しくしてね?」

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