ラスト プリンス

 甲高い女の子の声が寝室に響き渡った。っていうか轟いた。

「うっせんだよ。ボケェエっ!!」

 叫び声を聞いて即座に耕太に抱きついたあたし。なのに、耕太は勢いよく起き上がるもんだから、必死に裸が見えないように布団を掴んだ。

 ほ、ほら。あたし、昨日シャワー浴びたいとか思ってたくせにそんなこと忘れて………。

 ま、まあ。とりあえず。耕太はどうかは知らないけど、あたしは真っ裸なわけで。

『誰よ! その女!』

 おお。見事にハモった。

 っていうか、誰?

 恐る恐る耕太から離れて後ろを見てみれば。

 肩にあたるかあたらないかほどの艶やかな黒髪に、黒目がちな瞳。そして、驚くほど美人な“双子”が寝室の入り口に仁王立ちしていた。

 …………ふ、双子っ?!

「ホント、サイテー」と右の女の子。

「アリエナイ」と左の女の子。

 『ねーっ』と、しまいには顔を合わせる始末。

 おっとー。双子特有の“同じスタイル”だぞ。しかも、一卵性だっけ?めちゃめちゃ同じ顔。

「朝っぱらうっせーんだよ!」

『だからちゃんとピンポン押したもん!』

 おー。ハモってる、ハモってる。

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