ラスト プリンス


「……なぁ、カイ――は?」

「なに?耕太」

「なに?って、こっちが聞きたいんだけど。なんで、こいつがいるんだよ」

「んー?新しいバイトの子」

「はあ?バイト?」

「よろしくねっ。耕太!」

 ギラリと鋭い視線を投げ付けてくる耕太は、ワイシャツ姿で藍色のネクタイを締めている。

 冷たいそれを跳ね返すように、微笑むあたしに近づき、見下ろした。

「ここで働くなら、その化粧やめろよ」

「そのくらい分かってますっ」

 あたしを見下ろすそれを、下から睨み上げる。

 なのに、こいつはあたしのことを鼻で笑い「ちび」と一言言い放った。

「ちびぃーっ?!あたしのどこがちびなのよっ」

「俺からしたら十分ちびなんだよ。っていうか、あんたうるさい」

「163センチのどこが小さいっていうの?!」

 あーっ!!
 ホント、ムカつくっ。

 どうして、こう、人の癪に触る様なことしか言えないのかしらっ。


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