ラスト プリンス


「こーたー」

 打ちっぱなしのコンクリートの駐車場は、あたしの声がよく響く。

「……何だよ。一服くらいさせろ」

 駐車場の奥へと続く壁を曲がったところで、煙草をくわえて壁に背中を預ける耕太を見つけた。

 相変わらずの不機嫌そうな顔の耕太は、ゆっくりと煙を吐く。

「勝手にどうぞ。 あ、それ吸い終わったらでいいから、買い物連れてって」

「カイからメールきた。……行くぞ」

 携帯用の灰皿にまだ半分ほど残っている煙草を押し付けた。

「それ吸い終わったらでいいよ?」

 カイさんも、そんなに急ぎじゃないから、って言ってたし。

 だから、あたしもせっかく一服してるんだから邪魔しないようにって思って、そう言ったんだけど。

「次からお前ひとりで行くんだから、今日も歩きで行くぞ」

 無視すんなよーっ!!

 っていうか! さっき、ちらっとあたしの方見たくせにぃーっ。


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