ラスト プリンス


 確かに。真司と別れてから毎日のように告白されたことは事実よ。

 でもっ、あたしがまだ真司のことを好きだから、断ってるんじゃない。

「あたしは、誰とでも付き合うような軽い女じゃないの」

 実際、付き合ってた当時、あたしは真司のことが好きだったもの。

 他の男だってそう。
 ちゃんと好きになってた。

 ただ、始めから好きじゃないだけで、その男(ひと)の優しさや男らしさにだんだんと惹かれていくのよ。

「どの口が言ってんだよ。お前が“軽い女”じゃなかったら、何なんだよ」

 ふっと鼻で笑う真司は、「それに」と言葉を続ける。

「お前、見た目は良いから自慢になるんだよね。鼻が高いっていうか。 だいたい、お前だって遊びだったんだろ? ってか、お前と付き合う男なんて、大概お前の身体目当て。分かってんだろ?」

 じゅくじゅくと治りかけていた傷口が痛む。

「まさか、4ヶ月くらい続くとは思わなくてさ。何回かヤって飽きたら別れれば良いと思って、違う女とか作ってヤってたんだけどな。 逆効果ってやつ? 違う女とヤればヤるだけ、お前の方が良かったんだよなぁ」

 好きだったのは、あたしだけ。

 ボロクソ言われて悲しいのもあるけど、初めて知らされることの方がショック。


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