ラスト プリンス
お前は一体なんなんだ
◇◇◇
しゃくり上げたり、すすり泣く声が聞こえなくなったと思ったら。
俺の胸元に頭を預け、寝入る梨海の姿が目に入った。
仕方なく、起こさないように梨海を抱き上げ、ソファーのある社長室に向かう。
それにしても、身長の割に軽い。っていうか、軽すぎる。
「あ……泣かした」
社長室に入った瞬間、開口一番にそう言ったカイは、じっとこちらを見続ける。
「俺が泣かしたんじゃないから」
「ウソツケ。もしかして無理やり――」
「してねぇよ。このエロオヤジ」
「エロオっ……。はあ。まったくヒドイよね耕太は。梨海ちゃんに愛想尽かされるよ」
梨海をソファーに下ろし、スーツの上着を掛けてやる。
こいつ……すらりとした体に出るところは出て引っ込むところは引っ込む、モデル体型。
顔立ちなんか、はっきりとした目鼻に桜色のふっくらとしたこぶりの唇。
有名な雑誌から飛び出して来たような女。
その女の元カレは、そこら辺にうじゃうじゃいる平均に平均を加えた感じの男だった。