ラスト プリンス


 釣り合うとかそんな問題じゃない。
 この二人を天秤にかければ、いきおいよく梨海のほうに傾く。

 なのに、どうしてこの上玉女は、あの男を選んだのか。

「こいつに愛想なんかねぇだろ」

「でも、いい子だよね」

「まあ、確かにな」

 初めて見たとき、高校生には見えなかった。

 でも、高校生だって思ったのは……なんでだろう。

 今思えば、化粧も格好もずいぶんと大人っぽかったし、落ち着いた雰囲気だって……。

「僕、梨海ちゃんが先にオチるかなって思ってたけど、案外耕太も分かんないよね」

「はあ?それはナイだろ」

「じゃあ、何で梨海ちゃんに嘘ついてるの?」

「嘘、なんてついてねぇよ」

「言ってないだけ、なんて言わないよね?」

 俺が眉を寄せたのをまったく気にしないカイは、にこにこしている。

 言いたいことは分かった。
 でも、別に言わなくちゃいけないことでもないだろ。


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