ラスト プリンス
「ぱっと見て分かんねぇだろ?俺はれっきとした“大学3年”なんだからよ」
「耕太の所為で僕まで嘘ついてることになってるんだよーっ?」
「身分証とか見せなきゃぜってぇ分かんねぇから平気だろ」
まったく耕太は、と呆れ気味のカイは、冷蔵庫から緑茶のペットボトルを取り出した。
ホントに梨海は。
笑いを堪えるのが辛いくらいバカってどうなんだよ。
それにしてもヒドイ顔。
涙でグショグショのくせに、なんで、こう可愛く見えるんだよ。
「梨海ちゃんさ。メイク変えたらさらに綺麗になったよね」
「本人は子供っぽいって思ってるみたいだけどな」
眠る梨海の前のソファーに腰を下ろし、緑茶の入ったコップに口をつける。
途端。ひよこの鳴き声が社長室に鳴り響いた。
「カイ、うるさい。うざい。変えろ」
「いいじゃん。梨海ちゃんも可愛いって言ってくれたもん。 ……はい、もしもし。村上です」
口調から美羽子(みわこ)ちゃんじゃないな、とは思いつつ緑茶を飲む。