檸檬
カチャカチャ
自分がお皿をつつく音がむなしく響く
「・・・・」
文句は言わない
私が話しかける度に、一歩、二歩と、彼の気持ちが遠ざかって行くようで。
ふと、仕事をしていた彼の方からも音がしなくなった
見ると、規則正しい寝息が聞こえてきた
「こんなとこで寝たら風邪ひいちゃうよ・・・・?」
声は届かない
寝室に連れて行きたいけど体力がないし、
なにより彼は私に触られたくないと思うから、
そっと。
触れないようにタオルケットをかけて離れた
「おやすみなさい」
きっと届かないけれど。
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