Fear in there
床と灰皿に挟まれた男の頭は、微妙にその形を変えてしまった。

京子の耳に残る、鈍い音。
何故かは分からないが、その音は男の“死”を表している気がした。

その根拠を示すように、床に広がる濃い赤。

何かの意志を宿したように、京子の元に真っ直ぐ伸びる赤い筋。

触られたくなくて、後退り灰皿から手を離す。

吸い込まれるように、床の血だまりに落ちる灰皿。
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