唄うたい、月欠ける。

友達へ




『友達へ』





今日、あなたの姿が見えました。

声をかけたくなったけれど、
あなたの言葉を思い出して、唇噛んで俯きました。



一度経験あるからかしら。


やはりわたしは今でも、
あなたに冷たい瞳を向けられることが、この上なく怖いらしいのです。

あのさよならから、あなたを見つけるたびに、足がすくんでしまうのです。



あんなに、愛していたのに。
あんなに、愛していたから。



あなたに昔打ち明けた秘密、
どうか忘れてくださいな。

けれどああ、もう、覚えていないかもしれませんね。
そのほうが、きっといいです。

きっと、あなたが覚えていることで、
わたしがあなたを求めてしまうから。



わたし、強くなろうと思います。

だから、もうおしまいです。



さようなら、友達だったひと。

わたしの、大切だったひと。





どうか、お元気で。
どうか、しあわせで。



さようなら






   『   より』





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