緑の魔法使い
車は品川ナンバーで、昨夜から来たか、それともこの近辺の何所かで一泊したかは知らないが、運転手の年齢にはどの道休憩が必要だろうと白い少女一行を強引に休ませる事にした。
少女は少々悩んだ者の、お茶に誘われて断わるようなしつけはされてはいない。
黒スーツの男と目で会話をしたあと、まるで勇気でも振るうかのように足を家へと向けた。

客間に一行を通すも、運転手は家には上がらず土間に立ったままだったから、円座を置いて勧めれば、主が促してやっと座ってくれた。
少女より先にお茶を出すのもなんだと思うが、彼女よりこちらの運転手の方が必要だと判断して、運転手さんに薬草を煎じた物を差し出した。
効能優先な為に匂いも味も最悪を極めた物だが、そこは人生経験で学ぶ我慢の言葉に尽くすようにゆっくりと飲み干した。
それを見てもういっぱい差し出したところで俺はパンを齧りながら彼女と付き添う黒スーツに粗茶を用意する。ただし彼女には

「・・・水ですか」
「水です。天然の山水なのでよく冷えていて美味しいですよ」

土間に座る運転手にはここからでもにおいに顔をゆがめたくなるような薬湯なのに何故自分が水なのか、側に控える男でさえ粗茶なのにと言いたげな顔を隠さず、でも我慢してその水を口に含む。
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