緑の魔法使い
「とりあえず、塗っている薬を水だけで洗い落として。水は溜めずに頭から全部洗い流して」
「ちょ、何で・・・」

ドアを閉めて抗議は無視した。

「変えの服ぐらい持ってるだろ?」
「はい。車に着替えが一式・・・」
「とりあえず洗濯するから全部持ってきて、そこの洗濯機で洗剤無しで洗って」
「は、はい」
「運転手さんは悪いけど付いて来て手伝ってください」
はいと言う返事を待たずに裏の薬草畑へと走って行った。
大きな籠を持ち、次々に摘んだ薬草を運転手に持たせた籠の中に放り込む。
水瓶の水で丁寧に洗ってと指示をした後、貯蔵した乾燥した薬草を秤で計算しながら取り出す。
洗剤を入れずに洗濯機を回し始め、不審な目で俺を見る黒スーツに

「執事さん。お嬢様のこの症状はいつから?」

突然の質問に答えたのは執事ではなく運転手。

「生まれた頃にはこのような症状はなかったのですが、小学生に上がる頃引越しをして以来酷く皮膚炎を患うようになりました」
「皮膚炎?」
「かかりつけの医者にも、今まで頼った医者にもアトピー性皮膚炎もしくはアレルギー性皮膚炎と言われてまいりました」
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