緑の魔法使い

執事の憂鬱

襖一枚越しの会話は隣の部屋に居ても良く聞えた。
鼓都お嬢様について三年。
いろんな病院に出入りしたが、初めての治療法に耳を疑ったが･･･今まで痛みの代償に我儘の限りを尽くしたお嬢様にはこれぐらいの刺激的な治療法が合っているのだろう。
だけど、やっぱりそれは行きすぎじゃねぇ?なんて最後の会話に動揺している綾瀬川さんが飛び込んでいかないかとそっちの方をはらはらしながら見守っていたが、服を着て逃げるように二階の借りている部屋へと向ったお嬢様を追いかけないわけには行かない。
だけど、お嬢様は部屋から出てこず、ただないているだけなので暫くそっとし梳こうと思いながらしたへともどれば、橘様が土間に作られている台所で使い終わったスプレーのボトルを洗っていた。
｢どうでした?｣
お嬢様を泣かせて置いてそう言うのだから呆れるものの
｢さっきと変わらずです｣
｢まぁ、そうだろうね｣
言って重い溜息。
自分でも行きすぎなのが判ってるつもりなのか疲れたというように首を回していた。
｢あの、僭越ですが｣
綾瀬川さんも台所の土間にやってきた。