緑の魔法使い
どんなバイトと訊ねれずに居れば

｢ここの村唯一の動物病院があってね、そこに手伝いに行ってたんだ｣

顔に書いてあるというように人の顔を見て口の端を吊り上げた橘君にイジワルなんて思いながらも思わず食いついてしまう。

｢ここに来る途中にあった動物病院?｣

｢うん。父さんが応援してる所でね、優秀なお医者さんが一人で切り盛りしてるんだ。だから時々手伝いにね｣

｢なんだかこんな田舎で動物病院とは、のどかなイメージですね｣

ホコホコの肉じゃがの肉無しをテーブルに並べながら綾瀬川さんが楽しそうに笑う。

｢長閑じゃないですよ。犬の調教をやっていて、賑やかでパワフルな所です｣

如何にもくたびれたというように畳の上にゴロンとなり目をはなした一瞬の間に眠りについていた。

｢おやおや、もうすぐ食べれますのでそれから寝てください｣

肩を揺すればすぐに気が付き、ボケーっとしていた。
珍しい表情に思わず親しみを覚えて気付かれないようにそっと見てしまった。
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表紙・目次

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