緑の魔法使い

羽鳥が急いでご飯を並べて、また眠くなる前にと、さっさと食べ始めた。
私は相変らずベジタリアンな生活だけど、食事をして少し目が冴えてきた橘君に動物病院の話しを聞く。

｢あんな所で動物病院だなんて、お客は?｣

ダシにも動物性の物が使われているためにあっさりと昆布でとった出しで煮た里芋に味噌をつけて食べる。

｢主に牛とかかな?あとは、ニワトリとか、牧場経営している家が何件かあるから主治医してるはずだよ｣

｢たった、数件の為に?｣

羽鳥が呆れたようにご飯を食べる。

｢本当は警察犬や介護犬育成する為のドッグトレーナーだったんだけど、何か色々思い当たる事があったらしくて、ドッグランの経営しながら調教師を始めたんだけど･･･｣

｢こんな所で･･･ですか?｣

綾瀬川もさすがに呆れた。

｢うん。理想だけを求めての経営はいつの間にか火の車。
そんな時に父さんと出会ったらしくて、この一体の山に住み着いた野犬を拾っては調教して里親に引き取ってもらってる｣

｢野犬が居るのですか?｣

驚く羽鳥に、私はいまだに野良犬が闊歩している事に驚いてしまう。