緑の魔法使い
石鹸はいまだに使用許可もでず、微温湯で汗を流す私の風呂の時間はとても早い。
体が治った暁には風呂場で読書なんて優雅な一時を夢見ているのだが・・・
少しずつ赤みの引いてきたトカゲのような肌はまだがさがさしている。
でも、ここ数日関節を曲げて出血する事はなくなったり、何かに擦っただけで出血する事はなくなり僅かに希望を持ち始めていた。
短い入浴時間が終われば、治療がしやすいようにシャツ一枚の姿になる。
下着すらないこの姿はいまだに抵抗はあるものの、どこか今更感も覚えながら橘君の姿を探した。

「どう、濾過は終わった?」

覗けば、既に終わったらしくリサイクル瓶に何本も詰め終わっていた。
< 61 / 79 >

この作品をシェア

pagetop