緑の魔法使い
「浴槽の縁にでも座った方が楽かな?」

言われるままに座って、頭に掛けやすいように体を前に倒す。
すれば、暫くもしないうちに髪に何かが浸されるのが判った。

「・・・今度のは前のよりは強烈じゃないね」

とはいえ、少し眉間を狭めてしまう程度に臭いは強い。
薬局のような、薬膳料理のような臭いが頭から伝ってきたかと思えば、橘君は私の髪を纏め上げてシャンプーでもするかの様に揉みあげていた。

「今度のは今まで頭皮に薬が付けれなかったからね。こうやって頭皮と髪の両方に馴染ませるように揉むといいんだ」

「なんか、気持ちいいかも?」

円形脱毛もあり、あまり刺激のある事が出来なくって、ふれる事が出来なかったけど、滴り落ちる薬の水滴を肌で感じながらその心地良さに瞳を閉じる。
揉みこむ事数分、手が止まったかと思えば、顔にかけるからそのまま目を閉じていてといわれた。
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