会いたい夏
その日から、毎日私はみつくんの部活が終わるのを教室で待って一緒に帰った。

そして、私達が付き合いはじめてまもなく、待ちに待った修学旅行の日が来た。

『ちり、自由行動の日は一緒に買物しよう。』

「うん!わかった」

修学旅行初日はなんだか退屈だった。だって班行動だし、早く自由行動の日にならないかなぁ。

[ちり、みつくんと付き合ってるんだって?結構、噂になってるよぉ]

(同じ班のみきだ。)彼女とは、普段も仲良くしている、いわゆるまぶだち?みたいなもんだ。

「付き合ってるよ」

[なんで、言ってくれないのぉ?私達、友達でしょ?]

「ごめん。なんか、タイミングがなくて…
でも、そんなに噂になってたんだね?」

[そりゃ、毎日一緒に帰ってれば、噂にもなるでしょ]

「だね」
彼女は、心を許せる唯一の友達だ。

修学旅行初日の夜。
お風呂場から部屋へ戻る途中だった。

『ちり!』

みつくんだ。どうしよう。なんだか、はずかしいよぉ…

「みつくん…どぅしたの?」

『今、ちょうど呼びに行こうと思って』

『ちょっと外行かない?』

「先生に見つかったら怒られるよ」

『大丈夫だよ。行こう行こう』

「…」

私は、みつくんに手を引っ張られて、外へ行った。本当はうれしかったけど、先生に見つかったらと思うと少ししかめっ面になていた。

『風、気持ちいいなぁ』

「うん。気持ちいい」
『ねぇ、ちりは将来の夢とかあんの?』

「う~ん?通訳とか?」

『そっか。英語得意だもんな』

「そんなことないけど…、みつくんは?」

『サッカー選手とか?(笑)』

「いいんじゃない。私は応援するよ。」

『うん…』

「何か、いつもより元気ないね?」

ギュッ…
私は急に抱きしめられた。
< 3 / 13 >

この作品をシェア

pagetop